猫のフレーメン反応を詳しく解説!気になる理由や反応しやすい匂いとは
2023.01.24
臭い物を嗅ぐと口をポカンと開けて一時停止する猫独特の仕草をフレーメン反応と呼びます。見たら思わずちょっと笑ってしまう猫のフレーメン反応ですが、臭くてびっくりしているというわけではないのです。今回は、可愛い猫のフレーメン反応について詳しく解説いたします。実はフレーメン反応は、人間が思う以上に猫にとって重要な仕草なのです。
フレーメン反応とは
フレーメン反応とは、地球上に生きる多くの哺乳類などの動物が起こす生理的な反応のことです。猫のフレーメン反応と言えば、匂いが強い物を嗅いだ時に口を少し開けて一時停止する仕草のことを指します。
人間の嗅覚と比べて1万倍も優れていると言われる猫ですが、そもそもなぜフレーメン反応をした時に口を開けて一時停止してしまうのでしょうか?「そんなに臭いの?」と思わず猫に聞いてみたくなるフレーメン反応には、実はすごい秘密が隠されているのです。
猫のフレーメン反応の意味
猫のフレーメン反応には、きちんと意味があります。足の匂いを嗅がれてフレーメン反応をした猫にびっくりした飼い主さんも少なくないと思いますが、猫にとっては重要なことなのです。では、フレーメン反応をする意味とは一体どんなことなのでしょうか?
フェロモンの確認
フレーメン反応は、フェロモンを感じ取った時に起こります。猫にとってフェロモンの確認は、非常に重要な行為です。フェロモンは発情期を知る以外に、縄張りの主張にも使われます。フェロモンからは性別や年齢などもわかるため、猫は微細なフェロモンを感じることで多くの情報を得ているのです。
また、フェロモンは猫のお尻から発せられるとされています。他の猫の尿はもちろん、自分のお尻の匂いを嗅いだ時にフレーメン反応が起きるのは自分のフェロモンを確かめているのです。
飼い主さんの匂いを嗅いでフレーメン反応が起きるのは、人の汗や足の匂いがフェロモンとよく似ているからと言われています。嗅ぐことで、飼い主さんかどうかを確認したり情報を得ようとしていたりしているのです。
未知の物に対する調査
人間も自宅で知らない匂いがしたら、何事かと思いますよね。猫も同じように、知らない匂いを感じたらまずは安全かどうかを確かめようとします。外出した飼い主さんの匂いを嗅ぐのは、本当に飼い主さんかどうかの確認や飼い主さんについている外の匂いを調べるためです。猫が匂いを嗅いでくる時は、気が済むまで嗅がせてあげましょう。安全だとわかって猫の気が済めば、リラックスして過ごすようになるはずです。
安全確認
猫が匂いを嗅ぐのは、安全かどうかを確認しているのです。きちんと自分のフェロモンの匂いがする物があれば、そこは自分の縄張りです。見た目ではなく匂いで安全かどうかを判断している猫は、猫同士の挨拶や飼い主さんかどうかの確認も匂いで判断します。
目で見て判断する人間から見るとついついフレーメン反応をしている猫をおもしろく思ってしまいますが、猫にとっては匂いの方が遥かに信頼できる情報と言えるのです。
フレーメン反応のメカニズム
猫のフレーメン反応は、臭いが臭くて顔をしかめているわけではありません。猫の口は、人が思う以上にとても優秀です。猫の上あごには2つの穴があり、穴はヤコブソン器官(鋤鼻器)と繋がっています。ヤコブソン器官が発達している動物として有名なのが、蛇やトカゲです。舌をチロチロと出しているのは、ヤコブソン器官で周囲の様子の情報を集めているのです。
ヤコブソン器官は、フェロモンを感じ取る働きを担っています。猫の場合、正体不明の匂いを見つけた時に口を開けることでフェロモンなどの匂い物質を確認しているのです。決して臭い物を近くで嗅ぎすぎて衝撃を受けているわけではないのです。
フレーメン反応は人間にも起こる?
フレーメン反応をする動物は、猫だけではありません。では、人間もフレーメン反応を起こすのでしょうか?
臭い物程気になって嗅ぎたくなってしまうという人も多いですが、人は猫と違いヤコブソン器官があっても機能していないためフレーメン反応を起こすことはできません。視覚が発達したことで匂いやフェロモンを感知するよりも視覚情報が重要になったため、退化したのではないかと言われています。
フレーメン反応を起こす匂いとは
猫のフレーメン反応は、フェロモンやフェロモンに似た成分を感じ取った時に起こりやすいと言われています。具体的な匂いとしては、人の足や汗、自分や他の猫のお尻まわりの匂い、ハッカ系、マタタビ、猫が好きなハーブであるキャットニップなどがあります。
石鹸や塩素系の匂いもフレーメン反応を起こりやすいとされていますが、誤飲や誤食をすると危険なので扱いには注意が必要です。
フレーメン反応は猫によって個体差がある
フレーメン反応は、思わず写真を撮りたくなってしまう飼い主も多い猫あるあるな行動です。しかし猫にも個体差があるため、フレーメン反応をする猫としない猫がいます。フレーメン反応をする猫の中でも、頻繁にする猫もいればしているけれど表情が普段と変わらないという猫もいるのです。
フレーメン反応は無理に起こすものではない
フレーメン反応をしないのは、決して異常ではありません。それも猫の個性です。フレーメン反応をして欲しいからといって、匂いを無理に嗅がせようとするのは絶対に止めましょう。
猫の嗅覚は、人間の数万~数十万倍あると言われています。匂いを感じ取れる細胞の数も人間と比べておよそ2倍もあるため、とても鼻が良い動物なのです。
無理に匂いを嗅がせる行為は猫にとってストレスになってしまうため、最悪飼い主との信頼関係にもひびが入る恐れがあります。そっとしておけば、いつかするかもしれないので気長に待つようにしましょう。
猫がフレーメン反応をしている時にどんな反応をすべき?
猫がぽかんと口を半開きにして一時停止した姿は、飼い主さんにとって笑ってしまうほど愛嬌に溢れているものです。しかし、猫にとってはフェロモンを確認する重要な行動になります。
フレーメン反応をしているのを見たら、できるだけそっとしておくのがベスト。「あんな顔をしているけれど、今すごいフェロモンを嗅ぎ取っているのだな」と静かに見守ってあげることが大切です。
注意が必要なフレーメン反応
猫のフレーメン反応は基本的にそっと見守ることが大切です。しかし、フレーメン反応後に連続でくしゃみをしたり頭を振ったり、足元がおぼつかなくなったりしたら注意が必要です。嗅いだ匂いが猫にとって刺激が強すぎる場合に起こる反応なので、猫にとってあまり良い匂いとは言えません。今後は猫が嗅がないように遠ざけておくか隠すようにしましょう。
猫以外にフレーメン反応が起こる動物っているの?
フレーメン反応は、人間を始めとする霊長類には起きません。猫を始めとする多くの動物がフレーメン反応を起こすのですが、その反応の仕方はさまざまです。猫と並んでペットとして人気のある犬も、わかりにくいですがフレーメン反応を起こしていると言われています。
猫や犬以外にも、ウシ、ヒツジ、ゾウ、コウモリなどもフェロモンを感じ取ると、フレーメン反応を起こします。猫と同じくフレーメン反応が分かりやすいのが、馬です。唇を大きくめくり上げるため、見た人の中には「馬が笑っている」と思う人もいます。
しかし、猫がフレーメン反応をした際に顔をしかめて一時停止していても臭くて驚いているわけではないように、馬も人や他の馬を笑っているわけではありません。動物の感情とは関係はありませんが、人間から見ているとやはりおもしろい反応には違いありませんよね。
まとめ
可愛がっている猫が自分のお尻の匂いや飼い主の足の匂いを嗅いだ時に口を中途半端に開けて一時停止しているのを見ると、思わず「臭いの?」と思ってしまいますよね。しかし猫がフレーメン反応をするのは、決して臭いからではありません。フェロモンを嗅ぎ取ることで、多くの情報を得ているのです。ついつい見たくなったり写真を撮りたくなったりするフレーメン反応ですが、特にアクションを起こさずそっと見守ってあげることが大切です。