ハムスターの臭腺の役割やトラブルとは?飼い主さんのお手入れは必要?
2023.05.16
多くの動物と同じくハムスターも持っている臭腺ですが、具体的にどのような役割があるのでしょうか?飼い主さんの中には、臭腺の存在をあまり意識したことがないという方も多いと思います。実はあまり視力が良くないハムスターにとって、臭腺がとても大切なものなのです。今回は、ハムスターの臭腺の役割やトラブル、お手入れの必要性についてご紹介いたします。臭腺について知ることで、トラブルにも備えることができるようになりますよ!
ハムスターの臭腺とは?どんな役割があるの?
クリクリとした黒目が愛らしいハムスターですが、実は非常に目が悪い動物です。かなりぼやけた視界でも厳しい自然界を生きられるように、ハムスターは嗅覚と聴覚が発達しました。優れた嗅覚は、およそ人間の40倍。
また自身の縄張りや異性の存在を嗅ぎ取れるように、臭腺という部分も発達しています。ハムスターによって場所が違う臭腺は、特殊な匂いを出すことで繁殖や縄張りを守る役割を果たしています。臭腺は、オスメス問わず全てのハムスターに備わっています。
ペットとして飼われているハムスターも例外ではなく、ケージから出して部屋の中を散歩させると体を低くして臭腺の匂いをマーキングしている様子を見ることもあるでしょう。知らない場所に連れてこられてオドオドしているのも、自身の匂いがないため困惑しているからです。
臭腺の匂いは、お迎えしたばかりのハムスターを落ち着かせるためにも役立ちます。ペットショップで飼われていた時の床材を少し分けてもらって新しいケージに入れておけば、知っている匂いに安心してもらうことが期待できるでしょう。
臭腺の特徴
多くの動物に備わっている臭腺は、役割も動物によって異なります。ハムスターの場合は主にメスにアプローチするために備わっているとされ、種類によって場所が違います。ゴールデンハムスターはお腹の横にあるのに対して、ロボロフスキーハムスターやジャンガリアンハムスターは人間でいうおへそに近い場所に臭腺があります。
基本的にオスのハムスターの方がメスよりも臭腺から分泌される分泌液の匂いが強い傾向にありますが、発情期が近づくとメスも強い匂いの分泌液を出すようになります。メスの発情期は通常4日程度。臭腺の匂いが強いと言っても人間が臭いと感じる程ではないため、全く気付かなかったという飼い主さんも少なくありません。
ハムスターが臭いと感じる原因は、主におしっこのアンモニアや食べ残し傷んだ臭いです。もし臭腺が臭いと感じたら、ハムスターが自分でケアできていないか膿んでいるなどのトラブルが生じている時と言えるでしょう。
臭腺のお手入れは必要?
臭腺は黄色の粘度のある分泌液を出すため、スキンシップの際に気付いた飼い主さんの中には「お手入れが必要かな?」と思う方もいるでしょう。基本的に臭腺のお手入れはハムスター自身がするので、飼い主さんがお手入れをする必要はありません。
ハムスターは、本来とても綺麗好きな動物です。積極的に自分で毛繕いや砂浴びをして体を清潔に保ちます。臭腺のお手入れもしているので、特別心配する必要はないでしょう。ハムスターが体のお手入れをしやすいように、砂浴びができるドームなどを設置してあげることがおすすめです。
ただ飼っているハムスターが肥満である場合は、臭腺のお手入れを上手にできない場合があります。その際は、ぬるま湯で湿らせたガーゼなどで優しく拭うなどの飼い主さんのケアが必要になります。
臭腺のトラブルとは?
基本的にハムスター自身がお手入れをする臭腺ですが、トラブルが起こることがあります。ハムスターの様子を何気なく見ていたりスキンシップをしたりしている時に気付くことが多いのでしょう。具体的に、ハムスターの臭腺にはどんなトラブルが起こりやすいと言えるのでしょうか?
臭腺が腫れる
ハムスターの臭腺は、腫れることがあります。ハムスターの臭腺が腫れる原因の一つが、腫瘍です。ハムスターは、年を取ると臭腺に腫瘍ができやすくなります。詳しい原因はまだ解明されていませんが遺伝的要因や環境的要因が関係しているのではないかと考えられており、飼い主さんにはどうすることもできません。
臭腺に腫瘍ができている場合、スキンシップ時に触って気付く場合がほとんどです。放置しておくと悪化してしまうため、見つけたら速やかにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。必要に応じて手術をすることもあります。
また臭腺が腫れる原因として、臭腺が炎症を起こしている場合も考えられます。基本的に自分で臭腺のお手入れをするハムスターですが、臭腺がかさぶたでふさがってしまったり毛が絡んだりしてしまったりすると、十分なお手入れができず、分泌液が行き場を失って最悪の場合化膿してしまうことも考えられます。
ハムスターに腫瘍ができても、普段通りの行動が変わらないことがほとんどです。しかし、いずれにしても臭腺が腫れているのはハムスターにとって良くない状態です。触った際にしこりに気付いたら、大きさや色、触った時のハムスターの反応に注意しましょう。またハムスターの臭腺やその周りにしこりを見つけたら、自己判断せず悪化する前に獣医さんに診てもらうことが大切です。
かさぶたができる
ハムスターの臭腺は分泌液が出るため、分泌液が固まってかさぶた状になることがあります。基本的にハムスターが砂浴びなどのお手入れの際にはがすため、飼い主さんが気付いてもお手入れをする必要はありません。無理に取ろうとすると、臭腺や臭腺の周りを傷つけてしまう恐れがあるので見守ってあげることが大切です。
どうしても気になる場合は、オリーブオイルを綿棒やガーゼに少量つけてふやかす程度にしてあげましょう。柔らかくなったかさぶたをハムスターが自分のタイミングで加減しながら取るはずです。
ただかさぶたがジュクジュクとしていたり大きさが明らかに異常だったりする場合は、対処が必要になることがあります。
出血する
ハムスターが臭腺を強く引っ掻いたりかさぶたを無理にはがしたりすると、出血することがあります。出血量が少なくすぐに止まるようだったら、大きな心配はいりません。中には出血の跡を見つけたけれど、いつ出血していたのか全くわからなかったという飼い主さんもいるほどです。
ただ出血の量が多かったり頻繁だったりする場合は注意が必要です。細菌感染の恐れだけでなく、別の箇所からの出血の可能性もあるため早めに動物病院に行くことがおすすめです。
脱毛する
ふと見ると、ハムスターの臭腺の周りの毛が薄くなっていることがあります。ハムスターの臭腺の脱毛の原因は、カビやニキビダニが原因であることがあります。過度なストレスを受けると、ハムスターの抵抗力が弱るためニキビダニが悪さをしやすくなるのです。
しかしカビやニキビダニはどこにでもいるものなので、無菌の状態で買わない限り完全に防ぐことはできません。清潔な環境を維持し、なるべくハムスターにストレスをかけないようにしましょう。脱毛箇所がどんどん広がり続けると危険なため、早めに獣医さんに診てもらうことがおすすめです。
臭腺が濡れている時は異常?
ハムスターの臭腺からは粘度のある分泌液が出るため、しっとりと濡れていることが多いです。お手入れの時にハムスターが毛繕いをするので、唾液で濡れている時もあるでしょう。スキンシップで濡れていることに気付き不安に感じる飼い主さんも多いですが、ハムスターにとっては自然なことなので過度に心配する必要はありません。
濡れているとその部分だけ剥げているように見えることもありますが、しばらくすると乾いてきます。中にはびしょびしょになる子もいますが、不安であれば一度獣医さんに聞いてみると安心できるでしょう。
まとめ
ハムスターの臭腺は種類によって場所が異なり、分泌液を出します。濡れていることが多いですが、自然なことなので安心してくださいね。メスにアプローチするためのハムスターの臭腺を飼い主さんが直接お手入れする必要はありませんが、砂浴びができる場所を設置してあげましょう。ハムスターも喜んで臭腺のお手入れができます。しこりや出血などのトラブルがある時は、自己判断せず早めにかかりつけの動物病院で診てもらうことが大切です。ハムスターにとって臭腺はとても大切なので、場合によっては飼い主さんが手助けしてあげる必要があることも覚えておきましょう!