
犬が言うことを聞かない理由と時期別の対処法
2025.06.24
「最近、うちの子が全然言うことを聞かない…」そんな悩みを抱える飼い主さんは多いはず。
でも不安になる必要はありません。犬が言うことを聞かなくなるのには、ちゃんと理由があるんです!
特に時期によって見られる特徴的な行動や、接し方を知っておくことで、飼い主もストレスをためずに過ごすことができます。
犬には、言うことを聞かない“時期”がある!
犬の行動や態度にはきちんとした理由があります。
特に特定の時期に現れる“反抗的”な態度や無視は、しつけ不足やわがままではなく、立派な成長過程です。ここでは、それぞれのライフステージで見られる特徴を解説します。
幼犬期(生後2〜4ヶ月頃)|学習不足による混乱
この時期は「社会化期」とも呼ばれ、人や他の動物、音、環境などを学ぶ大切な時期です。周りの世界にとにかく興味津々な時期なので、落ち着きがなく、指示を理解できないこともしばしば。
この時期は「言うことを聞かない」と言うよりも「理解できていない」場合の方が多いです。
叱るのではなく、正しい行動をとった時にわかりやすく褒めると言う「正の強化」が大切です。
また、この時期に正しいしつけやコミュニケーションが不足すると、成長してからの生活に大きな影響を及ぼします。間違ったしつけをして強く叱りすぎてしまうと、恐怖心が芽生え、信頼関係が構築しにくくなったり、攻撃性が芽生えるきっかけにもなります。
焦らず、愛情を持って根気よく教えることが大切です。
思春期・反抗期(生後半年〜1歳頃)|自立心や好奇心の成長
この時期の犬はちょうど人間の思春期にあたるタイミングで、心も体も大きく変化します。
ホルモンバランスの変化や成長に伴い、自立心や好奇心が急激に強まり、「自分で決めたい」という欲求が芽生え、飼い主の指示を試すような行動が目立つようになります。
たとえば、「おすわり」や「まて」ができていたのに急に無視するようになる、散歩中にわざと引っ張る、呼んでも知らんぷりする 。こうした行動は、反抗というよりも「飼い主と自分の関係」を確認しているサインです。
この時期に厳しく叱ると、関係性が悪化してしまう可能性がある一方で、甘やかしすぎると今度はルールを守らなくなる恐れもあります。
この時期の反抗的な態度は一時的なので、感情的にならず、いつも通りの正しいしつけや関わり方を続ければ、やがて落ち着きを取り戻していきます。
シニア期(7歳以降)|加齢による変化
シニア犬になると、聴力や視力の低下、脳の老化(認知症)などが原因で、指示に反応できなくなるケースがあります。「無視している」と思いがちですが、実際は体の機能が低下しているだけということも。
たとえば、耳が遠くなって指示が聞こえていない、認知機能の低下によって、今までできていたことを忘れてしまう、などの行動も見られるようになります。
「うちの子はまだ元気だから」と思っていても、感覚や認知機能は低下し始めているかもしれません。
こうした変化は叱って改善されるものではありません。大切なのは、老化を受け入れ、愛犬に合わせた生活環境を整えることです。
時期に関わらず言うことを聞かなくなる場合もある
犬の行動は成長段階だけでなく、生活環境や体調も大きく関わっています。
引っ越し、新しい家族やペット、飼い主の生活リズムの変化などは、犬にとって大きなストレス。こうした環境の変化に敏感に反応し、突然言うことを聞かなくなるケースも少なくありません。
また、体調不良や病気、痛みなどで指示に従えないこともあります。
関節痛で「おすわり」ができなくなっていたり、内臓疾患で気分が優れず無気力になることも。
このような場合は、まず「しつけの問題」ではなく、「健康の問題」である可能性を疑ってください。いつもと違う行動が見られたときには、叱る前に動物病院で健康チェックを受けることをおすすめします。
犬が言うことを聞かない時期の行動
この時期に見られる代表的な行動には、以下のようなものがあります。
呼んでも来ない・飼い主の声を無視する
名前を呼んでも無視したり、指示を聞かない態度をとるのは、反抗期にありがちな行動です。
特にお散歩中や遊んでいる最中に多く見られます。
イタズラ・無駄吠えが増える
注意を引こうとして物をかじったり、わざといたずらをするケースもあります。
また、ちょっとした音や通行人に対して吠えるなど、過敏な反応が増えることもあります。
イタズラや無駄吠えに対しては、過剰に反応しないことが大切。
「こうすれば構ってくれる」と学習させてしまいます。冷静な態度で一言で注意し、かまわない様にしましょう。犬がイタズラや無駄吠えを辞めたら目一杯褒めてあげます。
犬が言うことを聞かない時期の正しい接し方
言うことを聞かない犬に対して「叱る」だけでは逆効果。正しい接し方を身につけて、犬との信頼関係を築いていくことが大切です。
「叱る」より先に「見直す」
犬の行動には必ず理由があります。「何が不安なのか?」「環境にどんな変化があったのか?」を見直し、飼い主側の対応を振り返ってみましょう。
飼い主や、住環境に原因がある場合は犬を叱っても意味がありません。
逆に、原因を見つけられれば犬の行動も自然と元に戻ることが多いです。
一貫性のあるしつけと声掛けをする
犬は毎回違う指示や態度を取られると混乱します。
家族全員で指示やルールを統一し、「言葉」と「行動」を一致させることで、犬の理解度も深まります。
犬の気持ちに寄り添う
「なぜこの行動をしたのか?」という視点で犬を見つめ直すと、叱るよりも共感が生まれます。
オモチャ以外のものを噛んでしまったとしても、「オモチャと似た素材と大きさだな」と犬の視点で考えることで、イタズラの原因が想像できるので、次回のイタズラを避けることにも繋がります。
信頼関係を深める上でも、犬の感情に寄り添う姿勢は不可欠です。
ドッグトレーナーに相談してみる
プロのトレーナーに相談することで、行動の原因を正しく分析してもらえます。
自己流で悩むよりも、専門的なアドバイスを受けることで、早期に改善できるケースも多くあります。
また、スクールにいくことで他の犬の様子や、飼い主さんの悩みも知れるので「なんでうちの子はできないの?」という悩みから抜け出すことができるでしょう。
まとめ
犬が言うことを聞かない時期は、成長や老化、環境の変化などさまざまな要因が関係しています。一見「反抗」に見える行動も、実は犬の成長・老化だったり、人間側の問題だったりもします。
飼い主が正しい知識を持って冷静に対応し、愛犬の成長に合わせた柔軟な接し方をしていくことが大切です。
犬が言うことを聞かない時期に悩むすべての飼い主さんが、犬との信頼関係を深めるヒントとなりますように!